屋久島ガイド協会からの「屋久島山岳情報」2017年6月14日
担当ガイド:荒木宏介
【周辺状況】
6月6日に梅雨入りするも雨の少ない屋久島でしたが、11日午前9時の屋久島では島内の最も多いところで1時間に44ミリの激しい雨が降り、気象庁が大雨洪水警報を出して河川の増水やはん濫などに警戒を呼びかけていました。
この日は梅雨前線上に発生した低気圧の影響で雨が降っていて、さらには台湾北部の東シナ海にいた熱帯低気圧(12日6時には台風に発達)が前線を刺激して大雨になりました。
このように台風(熱帯低気圧)が遠く離れていても大雨になる場合があるので、今後の天気予報を確認する際は台風と前線との関係にも注意するようにしましょう。
屋久島の山体の地質はほぼ花崗岩で成り立っていて、大雨になると急激に沢の水位が増すため注意が必要です。
しかし逆に雨が止めば水が引くのも早いため、1時間も経てばみるみる水が引いていきます。
突然の大雨に見舞われた際は落ち着いて行動し、水が引くのを待ってから渡渉するようにしましょう。
縄文杉コースや白谷雲水峡の沢沿いでは、サツキの赤い花の塊が白い花崗岩に映えています。
また山を彩っていたヤクシマシャクナゲも終盤を迎え、宮之浦岳周辺のシャクナゲも咲きたての濃いピンク色よりも開花から時間が経った白色が目立つようになってきました。
華やかなシャクナゲとは対照的に足元に目を移すと、ギンリョウソウやホウロクイチゴなど様々な草花をみることができます。
ギンリョウソウ(別名ユウレイタケ)は、葉緑素を一切持たないという珍しい植物で、そのため全草が透き通った白色をしているのが特徴です。腐生植物で、菌類と共生して栄養素を得ることで生活しています。

ギンリョウソウ
ホウロクイチゴは、花が終わりすでに実が熟しているものもあり、これからヤクザルのごちそうになります。
もちろん、人が食べることも可能ですが登山道での採取はひかえましょう。

ホウロクイチゴ
6月14日現在の日の出は5:12、日の入りは19:27です。
【コース状況】
●縄文杉コース(標高1300m)
6月12日 天気:曇り 縄文杉デッキの気温:16℃(11:30) 風:微風 登山者数:約100名
●白谷雲水峡(標高600~1070m)
6月13日 天気:雨時々曇り 太鼓岩の気温:16℃(13:00 標高1070m) 風:南東の風 登山者数:167名
【山岳部環境保全協力金について】
2017年3月より、「世界遺産屋久島 山岳部環境保全協力金」制度が始まりました。
みなさまから任意でご協力いただいた協力金は屋久島の環境保全に使われます。登山口や観光協会等での納入が可能です。
世界遺産・屋久島の環境を守るため、ご協力を宜しくお願いいたします。詳しくは下記をご覧下さい。
http://yakushima-tozan.com/
【登山道】
(縄文杉ルート)
とくに問題なく安全に通行できます。
・3月1日から11月30日までの間、町道荒川線入口(荒川三叉路)~荒川登山口の区間は、通行規制がかかり、一般者の通行が不可になります。
バスやタクシーなどの交通機関を利用してください。
詳しくは、屋久島山岳部保全利用協議会で確認できます。
→http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/
屋久島の道路通行規制情報はこちら
→http://www2.pref.kagoshima.jp/dourokisei/cgi-bin/mapframe.cgi?num=yakushima
(縦走ルート)
とくに問題なく安全に通行できます。
・暴風の恐れがあります。特に投石平付近は強風の吹きやすい場所です。天気予報を確認して必要に応じた装備を準備してください。
【装備】
・標高や風雨など天候によっては体感温度は低くなります。衣類は速乾性素材、防水、防寒、防風の装備をしっかり用意してください。
・屋久島での登山は予想以上に行動時間がかかることがありますので、日帰り登山でもヘッドライト、予備電池は必須です。
・登山中、混雑時やトイレ設備の故障などに備え、携帯トイレを持参することをお勧めしています。縦走ルートでは必ずお持ちください。携帯トイレは島内でも販売しております。
【注意】
・着替え、防寒着をしっかりと用意し、登山中の体調管理に十分気をつけましょう。
・避難小屋でネズミの被害が出ています。食料やゴミ類は、密閉容器に入れたり、壁に吊るしておくなど、管理に気をつけましょう。
・屋久島では、登山グッズレンタルショップのほか幾つかのホテル、エコツアー会社などで登山グッズのレンタルを行っています。装備に不安のある方はご利用ください。
※その他、登山道、周辺の状況など詳しい情報につきましては、
株式会社屋久島ガイド協会(0997-49-4191)までお気軽にお問い合わせ下さい。
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