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2017年6月28日 屋久島山岳情報

屋久島ガイド協会からの「屋久島山岳情報」
2017年6月28日
担当ガイド:松田浩和

【周辺状況】

「屋久島では、月に35日雨が降る」これは林芙美子さんが書いた小説「浮雲」の中に出てくる一文をもとにした表現です。
6月22日に沖縄では梅雨明けしましたが、屋久島では先週に引き続き、強い雨の日が多くなっています。
ここ10日間を見ても、累積降水量は約630mmほどで例年の約2.3倍程になっています。
それに伴い、大雨警報や土砂災害警戒情報が発令されることもありました。
文字通り「月に35日」の勢いで雨模様の屋久島ですが、今週末からは晴れ間も見えてきそうです。
梅雨明けの気持ちのいい青空までは、もう少しの辛抱といったところでしょうか。

大雨が降ると森の散策には制限がついてしまいます。
しかし、そんなときにこそ迫力を増すのが山々の水を一点に集めた滝です。
大川の滝、千尋の滝、トローキの滝などいくつもの滝が、いつもとは一味違う表情を見せてくれます。
トローキの滝は「轟く:とどろく」が語源の滝で、6mほどの滝にもかかわらず、大雨の時は轟音が鳴り響きます。

トローキの滝
増水したトローキの滝

また、大川の滝の迫力には圧倒されます。この滝の良さは滝つぼのすぐ近くまで行けるというところです。
近くから眺める滝は圧巻ですが、増水時は遊歩道まで水かさが増すこともあるので決して無理はしないようにしましょう。


白谷雲水峡などの森を散策していると、小さなラッパ型の白い花が目につきます。
これは、ヒメツルアリドオシというアカネ科の植物で、2cmほどの花が対になって咲きます。

ヒメツルアリドオシ
ヒメツルアリドオシ

近縁のアリドオシには、蟻をもつらぬくと言われる鋭いとげがありますが、ヒメツルアリドオシにはとげはありません。
秋には3mmほどの赤い小さな実をつけ、冬の間も長く残ります。

里から少し遅れて山中でもちらほらとヤマモモが実り始めています。
種は大きいですが、真っ赤に色づく果実は甘酸っぱく、非常に美味です。
焼酎に漬けるとヤマモモ酒、お酢に漬けるとヤマモモジュースを作ることができます。
なので、シカやサルだけではなく人間にも大人気の果実となっています。

ヤマモモ
ヤマモモの実

平年、梅雨明けは7月14日あたりとなっています。
もう少しの間、雨が続くかもしれませんが、水の滴る屋久島の森をお楽しみください。
沢の水量が増えていたり、一部地盤も緩んでいる場所もあるので大雨の日には無理をせず滝めぐりなどをお楽しみください。


6月28日 現在の日の出は5:18、日の入りは19:24です。


【コース状況】

●縄文杉コース(標高1300m)
6月25日 天気:雨 縄文杉デッキの気温:20℃(11:30) 風:南の風 登山者数:約125名
●白谷雲水峡(標高600~1070m)
6月24日 天気:くもり 太鼓岩の気温:23℃(12:30 標高1050m) 風:南東の風強 登山者数:約230名 


【山岳部環境保全協力金について】

2017年3月より、「世界遺産屋久島 山岳部環境保全協力金」制度が始まりました。
みなさまから任意でご協力いただいた協力金は屋久島の環境保全に使われます。登山口や観光協会等での納入が可能です。
世界遺産・屋久島の環境を守るため、ご協力を宜しくお願いいたします。詳しくは下記をご覧下さい。

http://yakushima-tozan.com/


【登山道】

(縄文杉ルート)

・3月1日から11月30日までの間、町道荒川線入口(荒川三叉路)~荒川登山口の区間は、通行規制がかかり、一般者の通行が不可になります。
バスやタクシーなどの交通機関を利用してください。

詳しくは、屋久島山岳部保全利用協議会で確認できます。
→http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/

屋久島の道路通行規制情報はこちら
→http://www2.pref.kagoshima.jp/dourokisei/cgi-bin/mapframe.cgi?num=yakushima


(縦走ルート)

・暴風の恐れがあります。特に投石平付近は強風の吹きやすい場所です。天気予報を確認して必要に応じた装備を準備してください。


【装備】 

・標高や風雨など天候によっては体感温度は低くなります。衣類は速乾性素材、防水、防寒、防風の装備をしっかり用意してください。
・屋久島での登山は予想以上に行動時間がかかることがありますので、日帰り登山でもヘッドライト、予備電池は必須です。
・登山中、混雑時やトイレ設備の故障などに備え、携帯トイレを持参することをお勧めしています。縦走ルートでは必ずお持ちください。携帯トイレは島内でも販売しております。


【注意】

・着替え、防寒着をしっかりと用意し、登山中の体調管理に十分気をつけましょう。
・避難小屋でネズミの被害が出ています。食料やゴミ類は、密閉容器に入れたり、壁に吊るしておくなど、管理に気をつけましょう。
・屋久島では、登山グッズレンタルショップのほか幾つかのホテル、エコツアー会社などで登山グッズのレンタルを行っています。装備に不安のある方はご利用ください。

※その他、登山道、周辺の状況など詳しい情報につきましては、
株式会社屋久島ガイド協会(0997-49-4191)までお気軽にお問い合わせ下さい。






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