屋久島ガイド協会からの「屋久島山岳情報」2017年9月6日
担当ガイド:荒木宏介
【周辺状況】
9月に入り、屋久島に吹く風も心地よい季節となり、夏の賑わいも少し落ち着いてきました。
屋久島独特の最後の盛り上がりに欠けるツクツクボウシの鳴き声が森の中で響き、秋の花や木の実が目につくようになりました。
スズコウジュ(シソ科)の花が涼しげに咲いているのを、縄文杉コースの登山道の階段の隙間などでよく見かけます。

スズコウジュ
5ミリほどの白い鈴のような花をうつむきぎみに咲かせていて、小さな秋との出会いに登山者の心が満たされます。
ヤマボウシ(ミズキ科)の赤い実も落ちていて、こちらはヤクシマザル達のごちそうとなり彼らのお腹を満たします。

ヤマボウシの実
一方、変わった手法でお腹を満たす植物が、縄文杉コースを歩き始めてすぐのトロッコ道脇で花を咲かせています。
ムラサキミミカキグサ(タヌキモ科)、全国に分布するモウセンゴケなどと同じ食虫植物です。

ムラサキミミカキグサの花とモウセンゴケの葉
植物としての生活をしながら(光合成はできる)虫も捕食し、夏から秋にかけて小さな紫色の耳かきのような形をした花を咲かせます。
地表近くにある捕虫嚢と呼ばれる透明な小さな袋がついていて、微小なプランクトンなどを食べてお腹を満たすようです。
食欲の秋、私たちもぜひ美味しいお弁当をいっぱい持って、縄文杉コースなどの長いトレッキングを元気に乗り切りましょう!
早朝の登山口では、肌寒さを感じることもありますが、日中は汗ばむような陽気になる日もあり、体調の管理には注意が必要です。
薄手のものを重ね着して調整し、水分と塩分もこまめに摂りましょう。
日の出が6:00近くとなり、曇り空の日などはまだ歩き出しが少し薄暗いので、ヘッドライト等があると便利になってきました。
9月6日現在の日の出は5:57、日の入りは18:38です。
【コース状況】
●黒味岳(標高1831m)
9月6日 天気:晴れ 黒味岳山頂の気温:23℃(11:30 標高1831m) 風:北西の風 登山者数:約20名
●縄文杉コース(標高1300m)
9月6日 天気:晴れ 縄文杉デッキの気温:22℃(11:30 標高1300m) 風:無風 登山者数:約350名
【山岳部環境保全協力金について】
2017年3月より、「世界遺産屋久島 山岳部環境保全協力金」制度が始まりました。
みなさまから任意でご協力いただいた協力金は屋久島の環境保全に使われます。登山口や観光協会等での納入が可能
です。
世界遺産・屋久島の環境を守るため、ご協力を宜しくお願いいたします。詳しくは下記をご覧下さい。
http://yakushima-tozan.com/
【登山道】
(縄文杉ルート)
・3月1日から11月30日までの間、町道荒川線入口(荒川三叉路)~荒川登山口の区間は、通行規制がかかり、一般車の
通行が不可になります。
バスやタクシーなどの交通機関を利用してください。
詳しくは、屋久島山岳部保全利用協議会で確認できます。
→http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/
屋久島の道路通行規制情報はこちら
→http://www2.pref.kagoshima.jp/dourokisei/cgi-bin/mapframe.cgi?num=yakushima
(縦走ルート)
・暴風の恐れがあります。特に投石平付近は強風の吹きやすい場所です。天気予報を確認して必要に応じた装備を準
備してください。
【装備】
・標高や風雨など天候によっては体感温度は低くなります。衣類は速乾性素材、防水、防寒、防風の装備をしっかり
用意してください。
・屋久島での登山は予想以上に行動時間がかかることがありますので、日帰り登山でもヘッドライト、予備電池は必
須です。
・登山中、混雑時やトイレ設備の故障などに備え、携帯トイレを持参することをお勧めしています。縦走ルートでは
必ずお持ちください。携帯トイレは島内でも販売しております。
【注意】
・着替え、防寒着をしっかりと用意し、登山中の体調管理に十分気をつけましょう。
・避難小屋でネズミの被害が出ています。食料やゴミ類は、密閉容器に入れたり、壁に吊るしておくなど、管理に気
をつけましょう。
・屋久島では、登山グッズレンタルショップのほか幾つかのホテル、エコツアー会社などで登山グッズのレンタルを
行っています。装備に不安のある方はご利用ください。
※その他、登山道、周辺の状況など詳しい情報につきましては、
株式会社屋久島ガイド協会(0997-49-4191)までお気軽にお問い合わせ下さい。
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