屋久島ガイド協会からの「屋久島山岳情報」2017年9月27日
担当ガイド:川原大基
【周辺状況】
先週半ば(9/21)から今週前半にかけて屋久島は、秋霖前線の影響で曇りや雨の日がつづきました。
そういった日には標高1,000メートル前後のヤクスギ林帯では霧が発生することが多く、晴天時には見られないモノトーンに覆われた幻想的な森が出現します。

霧に包まれた杉の森
別名、雲霧・蘚苔林と呼ばれる森林形態で、スギやモミ、ツガなどの高木の上部に苔やシダ類がびっしりと着生しており、分布域の北限が屋久島です。
里では、アマクサギの実が熟し始めています。全国に生育しているクサギ同様、葉に独特の異臭があります。
若い葉を塩もみして臭いを取り、炒め物にしたり、味噌汁に入れて食べます。

アマクサギ
屋久島でクサギと呼ばれるのはすべてアマクサギで、九州南部から沖縄にかけて分布する南方系の植物です。
標高500mより高い場所では、ナナカマドやヤマボウシの赤い実が目立ってきました。
この2種は東北地方の山地など、冷温帯地域に普通に見られる植物です。

ナナカマドの実
様々な植物が実をつけるこの時期は、屋久島が日本の北と南両方の気候帯の要素を持つ島だと実感できます。
登山や観光の際には、ぜひ南方系と北方系、両系統の植物たちを探してみて下さい。
秋雨前線が停滞している所に熱帯低気圧や台風が接近すると、強い雨が降ったり、雨量が非常に多くなります。
登山を計画される際は、前線だけではなく台風情報にも注意してください。
9月27日 現在の日の出は6:08、日の入りは18:08です。
【コース状況】
●縄文杉コース(標高1300m)
9月26日 天気:雨 縄文杉デッキの気温:18.9℃(11:30 標高1300m) 風:東の風 登山者数:約190名
●白谷雲水峡(標高600~1070m)
9月25日 天気:小雨 太鼓岩の気温:17℃(12:00 標高1050m) 風:東の風 登山者数:約240名
【山岳部環境保全協力金について】
2017年3月より、「世界遺産屋久島 山岳部環境保全協力金」制度が始まりました。
みなさまから任意でご協力いただいた協力金は屋久島の環境保全に使われます。登山口や観光協会等での納入が可能です。
世界遺産・屋久島の環境を守るため、ご協力を宜しくお願いいたします。詳しくは下記をご覧下さい。
http://yakushima-tozan.com/
【登山道】
(縄文杉ルート)
・3月1日から11月30日までの間、町道荒川線入口(荒川三叉路)~荒川登山口の区間は、通行規制がかかり、一般者の通行が不可になります。
バスやタクシーなどの交通機関を利用してください。
詳しくは、屋久島山岳部保全利用協議会で確認できます。
→http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/
屋久島の道路通行規制情報はこちら
→http://www2.pref.kagoshima.jp/dourokisei/cgi-bin/mapframe.cgi?num=yakushima
(縦走ルート)
・暴風の恐れがあります。特に投石平付近は強風の吹きやすい場所です。天気予報を確認して必要に応じた装備を準備してください。
【装備】
・標高や風雨など天候によっては体感温度は低くなります。衣類は速乾性素材、防水、防寒、防風の装備をしっかり用意してください。
・屋久島での登山は予想以上に行動時間がかかることがありますので、日帰り登山でもヘッドライト、予備電池は必須です。
・登山中、混雑時やトイレ設備の故障などに備え、携帯トイレを持参することをお勧めしています。縦走ルートでは必ずお持ちください。携帯トイレは島内でも販売しております。
【注意】
・着替え、防寒着をしっかりと用意し、登山中の体調管理に十分気をつけましょう。
・避難小屋でネズミの被害が出ています。食料やゴミ類は、密閉容器に入れたり、壁に吊るしておくなど、管理に気をつけましょう。
・屋久島では、登山グッズレンタルショップのほか幾つかのホテル、エコツアー会社などで登山グッズのレンタルを行っています。装備に不安のある方はご利用ください。
※その他、登山道、周辺の状況など詳しい情報につきましては、
株式会社屋久島ガイド協会(0997-49-4191)までお気軽にお問い合わせ下さい。
スポンサーサイト
コメントの投稿