屋久島ガイド協会からの「屋久島山岳情報」 2018年3月28日
担当ガイド:川原大基
【コース状況】
●縄文杉コース(標高1300m)
3月28日 天気:晴れ 縄文杉デッキの気温:12℃(12:00 標高1300m) 風:東の風 登山者数:約300名
●白谷雲水峡(苔むす森 標高850m)
3月28日 天気:晴れ 苔むす森の気温:15℃(11:30 標高850m) 風:なし 登山者数:約400名
【周辺状況】
先週22日(木)は気圧配置が西高東低の冬型となり、縄文杉コースではあられが降りました。24日(土)までは冷え込みが続きましたが、今週は春の温かさが戻りました。
屋久島の森では、植物たちが春の訪れを告げるかのような賑わいを見せています。
白谷雲水峡では、登山口までの山道に沿ってサクラツツジが次々と開花し始めています。

サクラツツジ
サクラツツジの花弁は上側のみ斑点模様がついています。
これは「蜜標」と呼ばれ、花粉を運ぶ昆虫を蜜へ誘導し、効率よく花粉を運んでもらうための工夫です。
常緑の照葉樹林で覆われた登山道では、足元にひっそりとサツマイナモリの白い花が咲いています。
サツマイナモリの漏斗型の花には、おしべの花糸(おしべの軸の部分)が長く、めしべの花柱(めしべの軸の部分)が短い「長花柱花」と反対に花柱が短く、花糸が長い「短花柱花」があります。
これは遺伝的に近縁な個体との交配を避け、より多様な遺伝的性質を持つ子孫を残していくための工夫だと考えられています。

サツマイナモリ
森が生命力に満ち溢れるこの季節に、様々な生き物による自然界を生き抜く知恵を探し歩くのも、屋久島の森の楽しみ方の一つです。
暖かくなり、登山者数も多くなりますので、山歩き、森歩き、自然観察の際には周囲への気配りも忘れずに屋久島を満喫して下さい。
3月28日現在の日の出は6:11、日の入りは18:33です。
【山岳部環境保全協力金について】
2017年3月より、「世界遺産屋久島 山岳部環境保全協力金」制度が始まりました。
みなさまから任意でご協力いただいた協力金は屋久島の環境保全に使われます。登山口や観光協会等での納入が可能です。
世界遺産・屋久島の環境を守るため、ご協力を宜しくお願いいたします。詳しくは下記をご覧下さい。
http://yakushima-tozan.com/
【登山道】
(縄文杉ルート)
・3月1日から11月30日までの間、町道荒川線入口(荒川三叉路)?荒川登山口の区間は、通行規制がかかり、一般車の通行が不可になります。
バスやタクシーなどの交通機関を利用してください。
詳しくは、屋久島山岳部車両運行対策協議会で確認できます。
→http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/
屋久島の道路通行規制情報はこちら
→http://www2.pref.kagoshima.jp/dourokisei/cgi-bin/mapframe.cgi?num=yakushima
(縦走ルート)
・暴風、積雪の恐れがあります。特に投石平付近は強風の吹きやすい場所です。天気予報を確認して必要に応じた装備を準備してください。
【装備】
・標高1000m以上では、雪山装備が必要です。積雪、凍結、悪天候に備え、奥岳登山ではチェーンスパイク程度の滑り止め、ストック等が必要です。万が一のビバーク用装備もお忘れなく。
・縄文杉ルートでも気温10℃以下、奥岳ルートでは5℃以下になることがあります。衣類は速乾性素材、防水、防寒、防風の装備をしっかり用意してください。
・標高や風雨など天候によっては体感温度は低くなります。衣類は速乾用素材、防水、防寒、防風の装備をしっかりと用意して下さい。
・屋久島での登山は予想以上に行動時間がかかることがありますので、日帰り登山でもヘッドライトは必須です。
・登山中、混雑時やトイレ設備の故障などに備え、携帯トイレを持参することをお勧めしています。縦走ルートでは必ずお持ちください。携帯トイレは島内でも販売しております。
【注意】
・着替え、防寒着をしっかりと用意し、登山中の体調管理に十分気をつけましょう。
・避難小屋でネズミの被害が出ています。食料やゴミ類は、密閉容器に入れたり、壁に吊るしておくなど、管理に気をつけましょう。
・屋久島では、登山グッズレンタルショップのほか幾つかのホテル、エコツアー会社などで登山グッズのレンタルを行っています。装備に不安のある方はご利用ください。
※その他、登山道、周辺の状況など詳しい情報につきましては、
株式会社屋久島ガイド協会(0997-49-4191)までお気軽にお問い合わせ下さい。
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