屋久島ガイド協会からの「屋久島山岳情報」2018年4月17日
担当ガイド:荒木宏介
【コース状況】
●縄文杉コース(標高1300m)
4月16日 天気:曇り 縄文杉デッキの気温:13℃(11:30 標高1300m) 風:北風の風 登山者数:約180名
●白谷雲水峡(太鼓岩 標高1050m)
4月15日 天気:曇り 太鼓岩の気温:12℃(12:30 標高1050m) 風:北西の強風 登山者数:約300名
【周辺状況】
今週の屋久島は、風の強い日と穏やかな日が交互にやってきて、寒暖の差も大きい日が続きました。
14日、15日は前線の通過に伴って、南からの湿った温かい空気が入り込んだ影響で「春の嵐」となり、1時間に30mm近い雨が降る時間帯もありました。
「月に35日雨が降る」と言われている、多雨地帯の屋久島。
1年間の平均降水量を比べると、東京が1,500mmに対して屋久島の平地では4,000mm。山岳部ともなると、10,000mm近い雨が降るほどです。
そんな屋久島でのトレッキングにおいて、雨の日を最大限楽しむポイントをご紹介。
その1、「しっかりとした装備を準備する!」
気温も上がるこれからの季節は、防水性はもちろんですが透湿性の高い雨具があれば、汗もかきにくく快適です。
また縄文杉ルートのトロッコ道を歩く際や屋根の無い場所でのお弁当タイムでは、折り畳み傘があれば重宝されます。
その2、「苔を愛でる!」
実に600種以上もの苔が屋久島に生息しています。
その中でも特に触り心地が良いのがヒノキコケ。丸くてふわっとした動物の毛並みのような群落を作り、イタチノシッポという別名もあるほど。

4月14日 ヒノキコケを触る登山者
その3、「雨の日限定の光景を楽しむ!」
森中が苔で覆われている屋久島で、唯一苔が生えにくいヒメシャラ。秋から春にかけて皮をぽろぽろ落とすことで綺麗な「美肌」を保ちます。
雨の日は濡れた「美肌」が一層輝きを増し、その美しさに目を奪われるほど。
よくよく観察するとそのつるっとした表面を、雨が滝のように流れていて、根本まで雨水をしっかりと届けている様です。

4月14日 雨できらめくヒメシャラ
ポイントその4、沢の増水にはご注意!
山岳部のほとんどが花崗岩で構成されている屋久島では、貯水性のある土壌が少なく、強い雨が降ると一気に沢が増水することもしばしば。
白谷雲水峡などでは、沢を渡渉する場所もあり、無理をすると下山不能に陥る事態もあり得ます。
当日の天気予報や現地の情報をしっかりと収集し、現地ガイドの指示には素直に従うようにしてください。

4月15日 白谷雲水峡渡渉点(渡渉可能)

2017年6月20日 白谷雲水峡渡渉点(渡渉不可)

4月14日(午前) 増水前の小杉谷橋からの荒川

4月14日(午後) 増水後の小杉谷橋からの荒川
以上のポイントを参考にされて、ぜひ屋久島の雄大な自然を満喫しにいらしてください。
4月17日現在の日の出は5:49、日の入りは18:47です。
【山岳部環境保全協力金について】
2017年3月より、「世界遺産屋久島 山岳部環境保全協力金」制度が始まりました。
みなさまから任意でご協力いただいた協力金は屋久島の環境保全に使われます。登山口や観光協会等での納入が可能です。
世界遺産・屋久島の環境を守るため、ご協力を宜しくお願いいたします。詳しくは下記をご覧下さい。
http://yakushima-tozan.com/
【登山道】
(縄文杉ルート)
・3月1日から11月30日までの間、町道荒川線入口(荒川三叉路)から荒川登山口の区間は、通行規制がかかり、一般車の通行が不可になります。
バスやタクシーなどの交通機関を利用してください。
詳しくは、屋久島山岳部車両運行対策協議会で確認できます。
→http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/
屋久島の道路通行規制情報はこちら
→http://www2.pref.kagoshima.jp/dourokisei/cgi-bin/mapframe.cgi?num=yakushima
(縦走ルート)
・暴風、積雪の恐れがあります。特に投石平付近は強風の吹きやすい場所です。天気予報を確認して必要に応じた装備を準備してください。
【装備】
・縄文杉ルートでも気温10℃以下、奥岳ルートでは5℃以下になることがあります。衣類は速乾性素材、防水、防寒、防風の装備をしっかり用意してください。
・屋久島での登山は予想以上に行動時間がかかることがありますので、日帰り登山でもヘッドライト、予備電池は必須です。奥岳登山時は万が一のビバーク装備をお忘れなく。
・登山中、混雑時やトイレ設備の故障などに備え、携帯トイレを持参することをお勧めしています。縦走ルートでは必ずお持ちください。携帯トイレは島内でも販売しております。
【注意】
・着替え、防寒着をしっかりと用意し、登山中の体調管理に十分気をつけましょう。
・避難小屋でネズミの被害が出ています。食料やゴミ類は、密閉容器に入れたり、壁に吊るしておくなど、管理に気をつけましょう。
・屋久島では、登山グッズレンタルショップのほか幾つかのホテル、エコツアー会社などで登山グッズのレンタルを行っています。装備に不安のある方はご利用ください。
※その他、登山道、周辺の状況など詳しい情報につきましては、
株式会社屋久島ガイド協会(0997-49-4191)までお気軽にお問い合わせ下さい。
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